2008年03月05日

【地球環境問題事典】地球温暖化 影響編

 毎週水曜日にお届けしています、地球環境問題事典。今週は、地球温暖化の影響編をお届けします。
 地球温暖化による影響としては、主に以下のようなものが想定されています。順を追ってご紹介していきましょう。

 @気温上昇による気候変動
 A海面上昇
 B永久凍土の融解
 C大気大循環・海洋大循環の変化


@気候変動(気温上昇) a)降水パターンの変化による淡水資源への影響

 気温の上昇による気候の変動によってもたらされる、もっとも大きな影響は、降水パターンの変化による影響ではないだろうか。気候変動により降水パターンは、現在降水量の多いところは更に多く、逆に少ないところには更に少なくなると予想されている。これにより、淡水資源の不足する地域が増えることや、洪水や渇水が起こりやすくなって各地で被害をもたらすことが予測される。また、水が十分でない穀倉地帯では水不足が深刻化し、食糧生産に影響をきたし、農作物収穫量の減少につながる。また、降水パターンの変化は、湿地など沿岸域の生態系へ大きな影響を与えると考えられる。

 b)生態系への影響

 そして、気温の上昇による気候の変動により、生態系のさまざまな分野に影響を与えることになる。まず、気候変動により植物の植生帯の移動が起こる。この植生帯の移動の速度に追いつかない植物は、その場では生息できなくなり、大規模な森林の枯死が起こることにもつながるだろう。また、陸上生態系については、植生帯の移動や病害虫・森林火災の増加などにより、生息種の変化が起こる。また、水域生態系についても、水温の変化などにより、冷水種が消滅するなど生息種が変化する。

 c)人類の健康への影響

 また、直接人類へもさまざまな影響があらわれることになる。気温の上昇により、老人・乳幼児への暑熱ストレスや病害虫の増加、熱帯性伝染病の病原生物・それを媒介する昆虫などの生息域の拡大、熱波による熱中症の増加などにより、人類の健康に大きな影響を与えることになる。


A海面上昇

 地球温暖化による影響の中で、海面上昇は最も目に見える形で顕れるものではないだろうか。地球温暖化は、海水温の上昇による海水の膨張や山岳氷河の氷などの融解などを引き起こし、海面水位が上昇すると考えられている。気候変動に関する政府間パネル(International Panel on Climate Change; IPCC)の2001年第3次評価報告書によると、海水面は、2100年までに9〜88cm上昇すると予測されている。
 一般に、北極の氷が溶けることで海水面が上昇すると考えがちだが、北極の氷はもともと海水面に浮かんでいるものなのでそれらが融けたとしても海水面は上昇しない(アルキメデスの原理)。また、南極については、気温が上昇することにより、逆に氷の量は増えると予想されている(周囲の海水が増加→雲の量が増加→降水量が増加→氷が増える)。そのため、南極・北極の氷については、海面上昇への影響は無いと考えられている。

 a)島部・沿岸地域への影響

 この海面の上昇により、島・沿岸地域が水没、もしくは高潮などによる被害を頻繁に受けるようになり、人類が生活していける陸地が消滅してしまう。これにより、人間の居住面積および食糧生産のための耕地面積が減少する。特に、沿岸地域に多くの人口を抱える国などでは、死活問題となってくるだろう。居住面積が減少することで、移住を余儀なくされる住民が多く出てくる(生存環境の悪化)。また、被害を受けない都市に人口が集中することとなり、局所的な淡水不足や公衆衛生の悪化・感染症の蔓延など直接人類への健康被害も発生してくる。

 b)海棲生物への影響

 また、海面が上昇することにより海浜帯・砂浜が破壊されたり、海面上昇のための陸地の水没を防ぐために護岸工事が増加したりすることが考えられ、こうなると海棲生物への影響が心配される。

 c)その他

 ほかにも海面上昇によって、高潮・高波・津波が大規模化し、沿岸地域に甚大な影響をもたらす沿岸災害を巻き起こす原因となるだろう。また、海面の上昇による地下水位の上昇・海水の河川への流入・沿岸地域の地下水の塩水化などによって、沿岸地域の淡水資源の不足へとつながることも考えられる。


B永久凍土の融解

 凍土とは、水分が凍って岩石のように硬くなった土のこと。永久凍土とは、年間を通じて凍ったままの大地のことを言う。アラスカ、カナダシベリアなど夏も地中の温度が氷点下の地域で見られる。特にシベリア地方に多い。
 凍土の表層部には、凍土が形成された約3万年前に大気中に存在していた大量のメタンガスが封じ込められているといわれている。そのため、地球温暖化により、これらの永久凍土が融解すると、表層部に閉じ込められている大量のメタンガスや二酸化炭素が大気中に放出される。そして、このメタンや二酸化炭素は、温室効果ガスであるから、再び地球温暖化を加速させるという、悪循環が発生してしまう。


C大気大循環・海洋大循環の変化

 地球温暖化により、大気大循環の変化が起こり、地球上の偏西風波動の変化をもたらす。これにより、さまざまな異常気象の原因となり、各地に大きな被害をもたらすことになる。
 また、海洋大循環の変化は、水環境における生物多様性に影響をもたらす。

※大気大循環
 地球は球形をしているため、地球に到達した太陽エネルギーの吸収量は低緯度で多く高緯度で少なくなる。仮に、熱が大気運動などによって水平方向に輸送されないとするならば、低緯度域の気温は高緯度域の気温より100度前後高くなると考えられている。このような大きな南北温度差を持つ大気は力学的に不安定なので、温度差を解消するように様々な大気運動が生じる。このような大気運動を総称して大気大循環という。常に偏西風が同じように吹いているのもこの大気大循環の一部の大気運動ということになる。

※海洋大循環
 海洋の中層部で起こる熱塩循環と表層で起こる風成循環とを合わせて、海洋大循環と呼ぶ。
 熱塩循環は、おもに中深層(数100m以深)で起こる地球規模の海洋循環で、メキシコ湾流のような表層海流が、赤道大西洋から極域に向かうにつれて冷却し、ついには高緯度で沈み込む(北大西洋深層水の形成)。この高密度の海水は深海底に沈み、1200年後に北東太平洋に達して再び表層に戻る。このような海水の大循環を熱塩循環といい、地球の気候に大きな影響を与えている。
 一方、風成循環は、偏西風や貿易風と地球の自転によるコリオリ力によってもたらされる海洋表層部の循環をいう。

次回は、第6回 さまざまな大気汚染の物質とその影響 です。


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posted by rido at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 地球環境問題事典 ブックマークに追加する
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