2008年04月09日

【地球環境問題事典】水・土壌環境への排出有害物質 @重金属汚染

 先週までは、大気環境における地球環境問題をテーマとしていましたが、今週からは、水・土壌環境における地球環境問題について、取り上げていきたいと思います。
 土壌環境に排出された環境への影響物質などは、地下水や河川・湖沼などにしみだし、水環境へも同様の影響を与えることが多いです。そのため、水環境と土壌環境の両方に着目し、「水・土壌環境における地球環境問題」というテーマで話をしていきたいと思います。

 まず、水・土壌環境に排出されるさまざまな物質についてです。第1回目の今日は、重金属汚染についてまとめてみました。
 全ての有害物質の排出は、人類への健康影響・生物多様性の減少に影響を与えます。また、淡水資源の不足や水産物収穫量の減少にもつながります。以下、各物質による影響については、人体へどのような影響がでるのか、生物多様性にどのような影響が出るのかについて記します。淡水資源の不足や水産物収穫量へ影響については、みな同様の影響がでますので、「水質汚染」のときにまとめてお話しすることにします。

1.カドミウム(Cd)
 カドミウムは、青白色の光沢を持つ柔らかい金属。

【カドミウムの排出原因】
 カドミウムは、合金、顔料、合成樹脂の原料の安定化材、蓄電池、亜鉛の精錬の副産物などの工業プロセスで排出される。

【カドミウムの影響】
 人体への影響として、腎臓障害、異常疲労、臭覚鈍化、貧血、骨軟化などがある。
 公害病として有名なイタイイタイ病は、このカドミウムが原因である。イタイイタイ病は、

慢性中毒による腎機能障害、カルシウム代謝異常が元になった重症の骨軟化症である。


2.鉛(Pb)
 鉛は、蒼白色のやわらかく重い金属。錆びにくい、加工しやすいなどの特徴から、古くから人類に利用されてきた。金属のまま利用されるだけでなく、化合物も広く利用されている。

【鉛の排出原因】
 鉛の主な排出原因は、自動車のバッテリー、はんだ、メッキなどの工業プロセスである。

【鉛の影響】
 鉛の人体への影響としては、貧血、消化管障害、神経障害、発がん性などが挙げられる。


3.6価クロム(Cr6+)
 クロムは、銀白色の硬くてもろい金属。クロムは、水中では通常3価と6価の形で存在する。この中で、6価クロムは主にクロム酸(CrO42-)や重クロム酸(Cr2O72-)の形で存在している。

【6価クロムの排出原因】
 6価クロムの主な排出源は、やはり工業プロセスからで、メッキ・染色・化学分析などからの廃液やクロム鉱からの浸出水などにより排出される。

【6価クロムの影響】
 6価クロムによる人体への影響として、呼吸器、肝臓障害、皮膚潰瘍、鼻中隔穿孔、肺がんなどがある。


4.ヒ素(砒素)(As)
 ヒ素は、昔から毒薬として知られてきたが、現在では半導体の原料、医薬品、農薬、防腐剤などに広く利用されている。

【ヒ素の排出原因】
 今述べたように、ヒ素の主な排出源は、医薬品などの工業プロセスや農薬散布などの農業プロセスによるものである。

【ヒ素の影響】
 ヒ素の人体への影響として、粘膜炎症、筋肉の弱化、黒斑の発生、脱毛、皮膚の色素沈着、下痢や便秘などが挙げられる。


4.水銀(Hg)
 水銀は、銀白色で、常温では唯一の液体金属である。水銀も古くから知られている金属であり、防腐・消毒などに使用されてきた。現在では、電気機器、計器、化学品製造、医薬品、乾電池などに使用されている。水銀化合物には昇汞(しょうこう=HgCl2)のように強い毒性を持つものが有る。
 また、有機水銀化合物の中で、水銀がメチル基(CH3)、エチル基(C2H5)などのアルキル基と結びついた物質の総称をアルキル水銀という。水銀化合物の中で、このアルキル水銀の排出は、水俣病の原因になるなど、大きな影響を与える。

【水銀の排出原因】
 主な排出源は、電気機器、計器、医薬品、有機合成などの工業プロセスや、農薬散布による農業プロセスである。

【水銀の影響】
 水銀の人体への影響として、さまざまな臓器、特に脳に蓄積し、知覚障害、運動失調、視野狭窄、言語障害などの中枢神経障害を引き起こす。特に、アルキル水銀は、吸収されやすく、よく知られている水俣病の原因にもなった。また、慢性中毒として、興奮傾向・不眠といった中枢神経への影響を引き起こす。
 アルキル水銀は無機水銀に比べて生物による濃縮率が高く、汚染地区では魚介類に高濃度に蓄積され、生物多様性にも大きな影響を与える。


5.セレン(Se)
 セレンは灰色の光沢のある金属である。セレンは、セラミックス・半導体・光電池・整流器などの広い用途に用いられている。

【セレンの排出原因】
 セレンの主な排出源は、電子部品材料、顔料、薬剤などの工業プロセスである。
【セレンの影響】
 セレンは、人体にとって生体必須元素であるが、過剰に摂取すると、中毒症状を示す。急性中毒症状としては、顔面蒼白・呼気にんにく臭・貧血・粘膜刺激・頭痛など、慢性中毒症状としては、皮膚や胃腸への障害、神経障害などがある。
 家畜に対して、暈倒病やアルカリ病などを引き起こし、生物多様性の減少に影響を与える。

 来週は、揮発性有機化合物の汚染(ハイテク汚染)についてです。


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posted by rido at 00:00 | Comment(1) | TrackBack(0) | 地球環境問題事典 ブックマークに追加する
この記事へのコメント
ちょっと訪問させてもらいました。
いろいろ内容の濃いブログですね。
参考になります。
がんばって下さい。
また、相互リンクをお願い出来ればありがたいです。
Posted by ren at 2008年04月09日 18:01
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