今週からは、大物?の環境問題が続きます!
個人的には、この水資源の不足問題は、地球環境問題の中でも非常に重要なテーマの一つだと思っています。なんといっても、水がなければ、人類は生きていけませんからね。
【淡水資源について】
水資源は、人間が利用できる水と定義する。水資源は、治水機能(洪水調節など)、利水機能(生活用、産業用、農業用など)、生態系保全機能(生態系維持、アメニティなど)といった機能を持つ。近年は、人の生活・活動に直接的には関わりのない自然的な場を維持する生態系保全機能が注目されており、その重要性が指摘されている。
淡水資源とは、地球の物質循環の重要な役割を担うとともに、その循環の過程で、地球上のさまざまな地理的位置において、気候特性を反映した物理量(賦存量)、化学的特性を有して存在する、(人類に利用可能な)海洋水以外の、水資源。
【淡水資源の現状】
地球上に水が液体の形で存在することで、生命が繁栄してきたといって間違いはないだろう。水は地球上で人類を含む生物が生きていくうえで欠かせないものである。特に人類の場合は、淡水資源が絶対に必要である。しかし、全地球上に存在する淡水資源の量は、全水資源の中のわずか2.53%であり、しかも、淡水の中でもほとんどがグリーンランドや南極の氷雪になっていたり、深層地下水として地中奥深くに眠っていたりして、実際人類が直接利用できる淡水というのは、ほんのごく僅かなのである。
しかし、淡水資源は有限地下資源と違い、随時地球上で循環を繰り返していくため、枯渇するということはない。この循環する水の量が、需要量に追いつかなくなった場合に、淡水資源不足に陥ることとなるのである。この点は、化石エネルギー資源や鉱物資源と淡水資源が大きく異なる点である。
表. 地球の水の量と滞留時間
| 貯水体 | 貯留量(千km3) | 貯留量に対する 割合(%) | 淡水資源に対する 割合(%) | 平均滞留時間 |
| 海洋 | 1,338,000 | 96.5 | −−−−− | 2500年 |
| 氷雪 | 24,064 | 1.74 | 68.7 | 1600〜9700年 |
| 永久凍土中の氷 | 300 | 0.022 | 0.86 | 10000年 |
| 地下水 | 23,400 | 1.7 | −−−−− | 1400年 |
| うち淡水 | 10,530 | 0.76 | 30.1 | |
| 土壌水 | 16.5 | 0.001 | 0.005 | 1年 |
| 湖沼水 | 176.4 | 0.013 | −−−−− | 17年 |
| うち淡水 | 91 0.007 | 0.26 | ||
| 湿地の水 | 11.5 | 0.0008 | 0.003 | 5年 |
| 河川水 | 2.12 0.0002 | 0.006 | 16日 | |
| 生物中の水 | 1.12 | 0.0001 | 0.003 | |
| 大気中の水 | 12.9 | 0.001 | 0.04 | 8日 |
| 合計 | 1,385,984 | 100 | ||
| うち淡水 | 35,029 | 2.53 | 100 |
「地球環境ハンドブック」p.106 「表3.7地球の水の量」「表3.8地球の水の滞留時間」を基に作成
この水の循環の速さを示す指標として滞留時間というものがある。表の平均滞留時間を見ると、地下水の滞留時間が、1400年ということがわかる。これは、今地下水として湧き出している水は、1400年前に地中にもぐっていった水だということである。地下水の1400年に対し、河川水の滞留時間は16日と桁違いに短い。その循環のスピードの速さゆえに、淡水全体の0.006%しか存在していない河川水が、世界における水供給の90%以上を占めているのである。このように、人類は、地球上にたくさん存在する水資源のほんのごく僅かを、繰り返し利用しているということになる。
そして、淡水資源のもうひとつの特徴が、地域偏在性が高いということである。淡水資源が地域的に偏っているということは、河川の地理的な分布の偏在やその流量の差異だけでなく、人口密度の分布なども大きく影響している。この空間的な偏在だけでなく、時間的な変動も大きい。河川の流量には季節変動があり、また渇水や洪水も頻繁に発生している。近年の人口の増加により、一人当たりの淡水資源の量は年々減少している。
世界の水利用の用途では、農業用水が全体の7割を占めており、次いで、工業用水が約2割、生活用水が約1割となっている。
また、世界の水使用量を地域別に見ると、アジアが最も多く、続いて北米、ヨーロッパ、アフリカ、南米、オセアニアの順となっている。また、人口一人当たりの生活用水の使用量を見ると、北米、オセアニア、ヨーロッパ、南米、アジア、アフリカの順となり、最も多い北米と最も少ないアフリカの格差は約7倍にもなっている。
【淡水資源不足の原因】
淡水資源の不足をもたらす原因としては、人口の増加、工業プロセスの発展や農業プロセスにおける灌漑用水使用量の増大などにより、水の需要が増大したことが、最大の要因である。それに加え、さまざまな農業・工業・民生プロセスの発展の影響による水質の悪化が起こっていることも重大な原因としてあげなくてはならない。水質の悪化の具体例として、最も重大なのは、民生プロセスからの家庭排水をはじめ、農業排水・工業排水に含まれるさまざまな物質による水質汚染である。他にも、灌漑農業による土壌の塩類化や、水の需要増大が引き起こす地下水の過剰揚水による地盤沈下や地下水の塩水化などが挙げられる。また、他の地球環境問題からの淡水資源不足への影響として、異常気象の増加による洪水・渇水の増加、酸性雨による河川・湖沼などの表層水の酸性化などがあげられる。また、地球温暖化による降水パターンの変化が水資源量の変化を引き起こしたり、海面上昇により地下水位の上昇や河川への流入、沿岸地域の地下水の塩水化などを引き起こしたりすることが予想され、これらも淡水資源の不足につながることとなる。また、都市部への人口集中が、局地的な淡水不足を巻き起こすことも危惧される。
【淡水資源不足問題による影響】
淡水資源が不足すると、さまざまな問題が発生してくる。最も重要なものは、公衆衛生の低下による人類の健康への被害や生態系への影響である。現に、途上国など現在でも淡水資源の足りない地域では、この不衛生な水により命を落とす人は非常に多い。
また、工業用水が不足すると工業の衰退につながるし、農業用水が不足すると農作物収穫量の減少につながる。生活用水の値段の高騰や、生活様式の変化を余儀なくされるなど、生存環境の悪化をもたらすことも考えられる。また、貧困の拡大にもつながる。そして、水の地域格差による戦争・国際紛争などが勃発することも危惧されている。このように、淡水資源不足問題は、問題が深刻化すると、現代社会文明に重大な影響を与える事態を招くことにもなりかねない。
来週の地球環境問題事典は、「砂漠化」について取り上げます。
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