森林とは、そこに生育している植物の集団というだけではなく、生活用水などの確保や水・大気の循環などに関連し地球規模の環境をコントロールする役割などといったさまざまな森林の機能も含める。
地球上の全森林の面積の約半分を占める熱帯林のうち、その約72%を占める熱帯雨林は、全世界の遺伝資源の過半を占め、世界最大の森林成長速度を持ち、地球規模での酸素や水蒸気の循環に高い機能を持つ。また、同一種の出現頻度は低く、非常に豊かな森林生態系を持っている。そして、その高い植物多様性に対応して、生息する動物多様性も高い。このように熱帯雨林は、地球規模の環境保全という立場から見ても非常に重要な役割を果たしている。この熱帯雨林は、その多くが熱帯地域の発展途上国に分布しており、その伐採が著しいため、森林の減少の問題を考えるというと熱帯雨林の減少について考えるということが多い。
一方、多くが温寒帯に位置している先進工業国では、森林は緩やかな増大が見られる。
【森林の減少の要因】
森林の減少には、森林が完全に他の用途に転換されるものと、森林は残存するものの機能的に劣化が激しく起こるものとがある。
前者の場合、その最も大きな要因は、人口増加による食糧需要を満たすために、農地や牧草地へ転用されるというものである。また、産業資材の確保のためにゴムやオイルパームを栽培する商業農園の開発なども、森林の減少につながっている。これらの計画的な森林開発に加え、貧困層の農民による過度の焼畑耕作も依然として行われており、森林の消滅と荒廃が進んでいる。また、林産物の採取や農地の開拓による伐採で森林が乾燥していると、タバコや焚き火の不始末、焼き畑農業などの要因によって森林火災が発生し、大規模な森林の破壊につながる。
後者の森林の劣化を起こす要因としては、薪炭財や建築用材の伐採によるものがある。特に成長の遅い乾燥地域での薪炭財の過剰採取は、森林の破壊に直結している。また、森林の減少の象徴としてよく登場する商業用木材の伐採は、有用な木材を選択的に伐採するので、質の低下はあるものの森林の形態は守られる。しかし、このような場合の伐採は通常大規模に行われ、林道の造成なども行われるため、この林道に沿って過度の移動焼畑が行われ、森林の破壊につながっているとされている。また、林業プロセスにおいて適切な森林管理が行われないために、森林が荒廃していってしまうことも要因の一つである。
そして、地球環境問題からの影響としては、酸性雨による直接沈着や土壌の酸性化により森林が破壊されたり、地球温暖化による気候変動によって植生帯が移動し、森林の植物が枯死してしまったりすることが考えられる。
【森林の減少による影響】
森林には、さまざまな機能があり、地球環境の保全に大きな役割を担っている。その森林が減少すると、それらの機能が全て低下することになり、多様な影響が出る。
最も直接的な影響は、木材の主要な用途である燃料材の不足をもたらすということがある。これは現地住民の生活環境を悪化させるだけでなく、化石燃料の使用が増えたり、堆肥などを家庭用燃料に転用することで耕地土壌の劣化につながったり、地球環境問題への影響もでてくる。
次に、森林の水保全機能(水資源の涵養機能)について考えてみる。森林の水保全機能が低下すると、森林が水を蓄える能力が減るので、豪雨による洪水が増えたり、水資源の確保が難しくなるので渇水が増えたりする。そうすると、土壌の流出、土壌の塩類化につながり、砂漠化の原因になったり、耕地面積の減少につながったりする。
また、森林の減少により、生態系保全に深刻な影響をもたらす。森林の減少は、そこに生息する動物の生息地の減少だけでなく、生息地の分断という二つ目の過程も通じて、生息・生育環境を改変させ、生態系に影響をもたらす。
広大な面積の行動圏や縄張りを持つ動物は、生息地の縮小に大きな影響を受ける。繁殖力が低いこれらの種は、生息地の減少によって両性の出会いが減少することによる繁殖確率の低下や近親交配の進行などにより、絶滅に追い込まれることが多い。
生息地の分断による生態系へ影響としては、断片となった森林に生息する樹木の種類がこれまでと変化してしまうこと(サンプリング効果)により、その生物が主に食物にしていた植物の供給が絶たれ、その生物が死滅してしまうというものなどがある。
そして、森林の減少は、地表面の改変などをもたらし、水・大気の循環などを大きく変動させる。これにより、地球全体の水循環や熱バランスに影響を及ぼし、異常気象の原因につながる。
最後に考えたいのは、森林が重要な炭素の吸収源であるということである。世界の森林は359Gtの炭素をバイオマスとして保有し、787Gtを土壌中の炭素として保有している。温寒帯林は、大気中の炭素の吸収源であるのに対し、熱帯林は減少していることから炭素の排出源となってしまっている。全ての森林の炭素収支を合計すると、排出量が吸収量を上回ってしまい、森林全体で年間0.9Gtの炭素を排出していることになる。このように、森林が減少するということは二酸化炭素の吸収量が減ることになり、地球温暖化の加速につながることになる。
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