2008年08月06日

【地球環境問題事典】食糧資源不足問題

 地球環境問題事典も、いよいよ来週で最終回となります。今週は、人類にとって非常に重要な環境問題である、食糧の不足問題を取り上げます。


 人類の歴史において、それまで狩猟・採取が生存のための手段だったものが、紀元前約1万年ころから、生存に必要な食糧を自力で生産し始めたと推定されている。その農耕による安定的な食糧生産は人口の増加をもたらし、また、人口の増加が食糧生産を増大させた。今日、大規模な飢饉が発生しなくなったのは、化学肥料・機械化・高収量品種の利用などによる農業生産性の向上と、生産国の食糧余剰が不足国へ輸送される国際貿易が発展してきたからである。
 しかし、食糧の需給の地域格差は非常に大きく、穀物の過剰消費地域(北米・南米・オーストラリアなど)と過少消費地域(アフリカ・南アジアなど)の穀物需給のデータを見ると、著しい格差が生じている。この地域格差が起こる原因は、貧困に代表される政治的・経済的要因である。以下では、これらの食糧資源が不足する問題についての要因を、農作物と水産物の二つに分けて、考えていくことにする。
 また、食糧資源不足問題は、現在の爆発的に増える人口による食糧需要の増大に、現在の食糧生産が追いつかないと予測されている絶対量としての食糧不足の問題も含んでいることを忘れてはならない。


【農作物収穫量の減少】
 農作物収穫量減少の要因として、さまざまなものが挙げられるが、それらの裏には貧困による影響があるものが多い。
 農作物収穫量減少の要因は、広範な分野から影響を受けるので、土壌・耕地からの影響、農作物への直接的な影響とその他の3つに分けて、以下に記述する。


1.土壌・耕地の変化による影響
 化学肥料などの過剰使用は、土壌微生物を減少させ、土壌の水分含有能力を低下させる。また、化石エネルギーや薪炭財などの燃料資源の不足により、これまで堆肥として利用してきた家畜の糞や廃棄農作物などを家庭用燃料へ転用することも、同様に土壌微生物の減少につながる。この土壌水分含有能力の低下や不適当な灌漑期間・休閑期間の短縮、また砂漠化の進行などの要因で、土壌の劣化が起こってくる。土壌の劣化は、耕地面積の減少、農作物収穫量の減少へとつながる。
 また、過剰な灌漑農業は、塩類集積・土壌のアルカリ化・冠水などをもたらし、耕地面積の減少につながっている。森林の水土保全機能の低下も、土壌の流出や塩類化の原因となり、結果的に耕地面積を減らすことになる。さらに、都市化現象による農地の転用も、耕地面積の減少の原因となっている。
更に、地球温暖化による海面上昇が、今後耕地を水没させることも危惧されている。


2.農作物への直接的影響
 農作物への直接的な影響には、まず、農業用水の不足という問題がある。地球温暖化による降雨パターンの変化は、穀倉地帯の降水量を減少させると予測されている。また、淡水資源の不足は、農業用水の不足につながっていく。これらにより、収穫量への影響が起こってくる。
 そして、酸性雨や紫外線の増加などが植物の成長を阻害し、農作物の収穫が減るという問題もある。
 ほかにも、病害虫の分布の変化が、これまでその地域に生息していなかった病害虫の出現を招き、農作物に大きな被害が出る。干ばつなどの異常気象の増加や渇水による影響なども、農作物収穫量の減少につながる。
 更には、農薬(殺虫剤)使用の増加は、強い抵抗力を持った害虫の出現を招く。それにより農作物に大きな被害が出ることが心配されている。


3.その他の影響
 野生生物の採取によって食糧をまかなっている場合には、生物多様性の減少が食糧需給に大きな影響を与える。
また、生物多様性の減少は、遺伝子資源の喪失にもつながり、農作物や家畜の品種改良を衰退させ、将来の農作物収穫量に影響を与えるかもしれない。
 そして、化石エネルギー資源枯渇が進むと、化石燃料の価格が高騰し、食糧生産に影響を与えることも考えられる。


【水産物収穫量の減少】

 地球表面の71%を覆う海洋は、地球上の水の99%を占めており、そこに住む生物を我々の資源として、供給する役割を持っている。収穫される水産物のほとんどは、漁業による生物の採取(漁獲)である。また、自然に生まれ育っているので野生生物ということができる。
 以下に、水産物収穫量を減少させる要因について述べる。
 まず、水産業による乱獲・混獲が、その水生生物の再生能力を上回ってしまうと、水産資源が減少し、水産物収穫量の減少につながる。また、水環境における環境問題によって起こる、水質汚染や閉鎖性海域などに生息する生物の減少により、水産物収穫量に大きな影響を与える。
 また、農作物の項でも同様のことを述べたが、生物多様性の減少が水産物収穫量の減少に大きな影響を与えることになる。水産物の場合は、野生生物の採取に頼る部分が多いため、特に大きな影響がでることになる。
この2点が、水産物収穫量減少の最大の要因であろう。他には、湿地などの沿岸域の生態系の変化が沿岸漁業へ影響を与えることが考えられる。


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2008年07月30日

【地球環境問題事典】生物多様性の減少(野生生物種の減少)

 2月に始まりました地球環境問題事典も、かなり大詰めになって来ました。今週は、生物多様性の問題に着目します。

【生物多様性とは】
 生物多様性(biodiversity)とは、地球上の生物に見られるさまざまな変異性や多様性を包括的に表していて、遺伝子・種・生態系の三つの異なるレベルで考えられる。遺伝子レベルの多様性とは、ある生物種の遺伝的変異をさす。種レベルの多様性は、ある地域にどれだけ多様な生物種が存在しているかで表される。そして、生態系レベルの多様性は、ある地域に樹林・草原・湿地といったさまざまな生態系がどれだけ存在するかで示される。

 地球上に現在生存している生物種の数は数百万から数千万と推定されている。そのうち、分類学者により命名されているのは140万種に過ぎず、保全策を検討できるほどその生態がわかっているものは、そのまたごく一部である。
 生物多様性の減少は、特定の種の個体数減少や絶滅、野生動植物の生息・生育環境の減少・消失という形で進行している。国際自然保護連合(International Union for Conservation of Nature and Natural Resources; IUCN)の2003年版レッドリストによれば、哺乳類1130種(全体の約23%)、鳥類1194種(同12%)が絶滅の危機にさらされている。
 生物多様性は、地球上に一様に分布しているのではない。既知の植物種の44%、脊椎動物の35%が、地球上の陸域の1.4%を占めるに過ぎない地域に固有となっており、その多くの地域が低緯度の地域に集中している。このような生物多様性の保全上重要でありながら、改変の対象にされやすい陸域は、ホットスポットとよばれている。

【生物多様性の減少の原因】
 生物多様性の減少の直接的な原因には、過度の捕獲・採取、汚染物質の環境への放出、外来生物種の侵入による捕食・競合・交雑、生息・生育環境の改変などが挙げられる。また、今後、温暖化の気候変動やその他さまざまな地球環境問題が生物多様性に影響を与えてくることが懸念されている。
 また、これらの現象が引き起こされる背景には、南北問題に代表される貧困、人口の増加による資源消費量の増加や社会的・政治的・経済的な要因などがあるため、単に直接的な要因を規制するような措置では、問題の根本的解決にはならない。有効な生物多様性保全策をとるためには、このような背景にある要因を考慮することが必要である。


1.過度の捕獲・採取
 人口が増加したことによる過度の捕獲・採取は、生物多様性の減少の根本的な原因として最も重要なものの一つである。


2.汚染物質の環境への放出による影響
 さまざまな汚染物質が環境へ放出されることも生物多様性の減少の原因である。特に水環境からの影響には、重金属・揮発性有機化合物の排出、微生物による汚染、油による汚染、固形廃棄物の排出などさまざまなものがある。その中から、特徴的なものを幾つか述べる。アルキル水銀やPCBは、生物による濃縮率が高く、汚染地区で魚介類に高濃度に蓄積されるため、生物多様性に大きな影響を与える。セレン中毒は、家畜に対して、暈倒病やアルカリ病などを引き起こすことが知られている。シアン化合物は微量でも水生生物に障害を与えるため、生物多様性の減少への影響が大きい。油の流出が起こると、特に沿岸部で短期間のうちにその豊富な生態系に多大な悪影響をおよぼし、魚類、海底生物、海鳥、マングローブ林やサンゴ礁などに壊滅的な打撃を与える。固形廃棄物の場合は、餌と間違えて魚や海鳥が飲み込むと、消化器に入り込み、動物の健康に悪影響を及ぼす。ホウ素が大量に排出されると、穀物の発育障害を引き起こすことがある。
 これ以外に、水環境の中でも、特に閉鎖性海域などの生物に大きな影響を与えるものがある。その原因となるのが、土砂の流入、有機物汚濁によるヘドロの蓄積、赤潮・アオコのプランクトンの死骸の底質への蓄積、貧酸素水塊の形成、有害プランクトンの発生などである。
 また、大気環境からの影響としては、紫外線の増加による土壌微生物や植物プランクトンの減少、酸性雨による河川・湖沼など地表水の酸性化による魚への影響などがある。


3.外来生物種の侵入による捕食・競合・交雑
 さまざまな要因により、本来の分布域を越えて、従来生息していなかった地域に生物種が侵入してくるという状況が発生している。それらの生物種による捕食・競合・交雑などが、生物多様性の減少の原因となっている。生物が新しい地域に入り込むというプロセスは、風や海流などの自然的要因による場合もあるが、現在では、圧倒的に人為的な要因が介在していることが多い。しかも、人類の社会・経済活動の拡大に伴って、その数も急激に増加している。以下に、外来生物種の侵入が起こる要因を挙げる。
 陸上生物に関する要因としては、栽培・飼育・観賞用としての人為的に導入される場合や、輸入木材や家畜飼料などに紛れ込んでくることなどにより、これまで生息していなかった地域にさまざまな生物種が移入される場合などがある。また、水生生物に関しては、バラスト水の排出による要因、輸入海砂の利用による要因、温・冷排水に起因する海洋水温の変化による要因などにより、他の生物種の侵入が発生している。


4.生息・生育環境の改変
 生物の生息環境・生育環境が大きく変化すると、生物多様性の減少に大きな影響を与える。生息・生育環境の改変の要因としては、以下のようなものが挙げられる。
 まずは、人間による乱開発が直接生息・生育環境の改変をもたらすというものがある。工業プロセスや都市化現象による乱開発には、湿地の乾燥化や、埋め立てによる自然環境の破壊、自然地域の細分化・孤立化などがある。水環境においても、港湾・臨海空港の建設や干拓・埋め立て・沖合人工島・河川構造物の建設などが海底・沿岸域など地形を変化させ、水環境における生息・生育環境の変化をもたらす。また、これらの水環境における開発は、海流・潮流、海洋大循環の変化をもたらし、そこで生息している水棲生物の生息・生育環境の変化に影響を与えることも考えられる。
 また、森林の減少や砂漠化の進行により、動植物の生息域が消失するので、生物多様性の減少の原因となる。洪水・渇水による河川中の生息場所の減少なども原因となる。
他には、地球温暖化による気温上昇の影響も受けることが予想される。気温が上昇すると、陸上生態系では植生帯の移動がおこり、その移動速度に追いつけない種は、存続が危ぶまれることになる。また、気温の上昇は、病害虫の分布の変化や森林火災の増加などを引き起こし、生息種の変化に結びつく。また、水域生態系についても、水温の変化などにより、冷水種が消滅するなど生息種が変化し、生息環境の変化につながる。陸上における病害虫分布の変化は、生物多様性の減少だけでなく、農作物収穫量の減少やマラリアなどの蔓延による人類への健康被害ももたらすと予想される。


5.他の地球環境問題による要因
 上記に挙げたもの以外にも、他の地球環境問題が進行し、生物多様性に影響が及んでくることが懸念されているものがいくつかある。
 地球温暖化による降水パターンの変化により、湿地など沿岸域の生態系へ影響を与え、沿岸漁業や観光資源へも影響を引き起こすと考えられる。また、地球温暖化による海洋大循環の変化が起こると、生息環境の改変の要因になると予測される。
 さらに、淡水資源の不足問題により、河川・湖沼などの生息環境に影響がでることも考えられる。
また、現在は、特に問題になっていないが、今後の海底エネルギー資源の開発に伴って二酸化炭素の海洋隔離を行う構想がある。この際に二酸化炭素が漏出することで、水環境へ二酸化炭素が排出され、二酸化炭素に弱い稚魚などに影響を与えることが考えられる。


【生物多様性の減少による影響】
 生物多様性の減少は、さまざまな場面に影響を与える。
 まず、実際に人間が資源として利用しているものがなくなってしまうというものがある。生物多様性の減少(野生生物の減少)は、我々が生態系から直接利用している食糧や燃料、医薬品などの減少・不足につながる。食糧の中に占める野生生物の割合は、途上国で高いと考えられがちであるが、先進国においても大量の水産資源が野生生物によるものであることを忘れてはならない。また、多くの途上国において、薪が燃料の大きな部分を占めているし、医薬品については、先進国でその多くが野生生物由来のものである。
 また、遺伝子資源の喪失という意味では、医薬品の開発や農作物・家畜の品種改良に影響を与えることになる。
 生物多様性の保全について、資源として価値があるものに注目しすぎることは、当面利用できない野生生物の保全を軽視することにつながるため、生物多様性を文化的、倫理的観点からも評価し、適切な保全対策をとらなければならない。
 ほかに、生態系による水源涵養や土壌形成といった機能を生物多様性として考える場合もある。(これらについては、森林の減少や砂漠化などといった分野で取り扱っているので、詳細は取り上げない)


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2008年07月23日

【地球環境問題事典】異常気象・自然災害の増加

 今週のテーマは異常気象です。常に異常気象が起こってしまうようでは、もうそれは異常気象とは言わなくなってしまいますが・・・。


 過去に起こった平均的な気象状態から大きくかけ離れた気象現象が起こった場合、社会生活に対してさまざまな影響を与え、場合によっては災害を引き起こす。こうした現象を異常気象とよぶ。

 異常気象の要因は大きく自然的要因と人為的要因に分けられるが、それらの詳細のメカニズムについては解明されていないものもいまだ多い。

【異常気象の自然的要因】

1.偏西風波動の変化
 中・高緯度地方の上空を吹いている偏西風が、高気圧や低気圧を東に移動させて、この地域の日々の天気を決めている。大気大循環の変化などによって、この偏西風の蛇行が強まったり、位置が変わったりすると、これらの地域に寒気や暖気が持続的に流入することになり、異常冷温や異常高温・干ばつなどの異常気象の原因となる。

2.海洋変動
 海水温の変化や海流の変動は、天候の変化、つまり異常気象につながりやすい。特に、地球の自転に関するコリオリの力の効果がほぼ0になる、赤道付近の熱帯地域では、海洋の変化に大気(天候)が、特に敏感に反応することが知られている。その大気と海洋の相互作用の結果起こる典型的な異常気象が、エルニーニョ現象である。
 エルニーニョ現象は、ペルー沖から赤道東部太平洋にかけて、海面水温が平年に比べて著しく高くなる現象で、数年おきに繰り返して起こっている。 エルニーニョ(El Nino)は、スペイン語で「男の子」の意で、神の子イエスをさしている。
 エルニーニョ現象が発生すると、熱帯の大気の流れが変わり、積雲滞留の活発な領域が移動するので、降水量の変動が各地で起こる。いまだ科学的な解明は十分ではないが、ペルーやエクアドルで豪雨が多発するなど、世界の各地で、高温・低温・多雨・少雨などの異常気象が現れやすくなっている。
 また、東部赤道太平洋の海面水温がかなり低く、かつタヒチとダーウィンの気圧差が平年より大きくなる年には、エルニーニョ現象とは逆の現象がおこる。これをラニーニャ現象と呼んでいる。(ラニーニャ(La Nina)は、スペイン語で「女の子」の意。)

3.火山噴火
 火山の噴火が気候変動にもたらす最も大きな原因は、二酸化硫黄などを成層圏に撒き散らす噴火である。成層圏にまで吹き上げられた火山灰などは比較的速く落下するが、水蒸気とともに吹き上げられた二酸化硫黄は、エアロゾルと呼ばれる浮遊性の微粒子の形に変化する。エアロゾルは、対流圏では雨によって洗い流されたり、雲粒ができる時の核となったりして消失するが、成層圏では、これらの現象が起こらないので、長期にわたって滞留することになる。そうなると、日射を吸収したり散乱したりするので、太陽放射エネルギーが減り、地表の温度を低下させる(寒冷化する)ことになる。これは、日傘効果(parasol effect)とよばれている。この日傘効果は、直接的に気温低下に影響を与えるだけでなく、偏西風の変動を引き起こし、それが間接的に気温の低下につながる。

4.太陽活動
 太陽から来る放射エネルギーは、大気現象の源である。この放射エネルギーを示す指標として、太陽定数というものがある。太陽定数は、地球が太陽から平均距離にあるとき、大気の外で太陽の方向に垂直な単位面積が、太陽から単位時間に受ける全放射エネルギーと、定義されている。この太陽定数が変化すれば気候に影響が現れることと考えられているが、まだ確認されていない。しかし、もし今後この太陽定数が大きく変動するようなことが起これば、地球の大気環境に大きな影響を与えることは、大いに予測できる。


【異常気象の人為的要因】

 異常気象の出現は、地球の温暖化、酸性雨、オゾンホールなどによる環境破壊も直接・間接的に影響を与える。以下で、個別項目についてみていくことにする。
 地球温暖化は、大気大循環に変化をもたらすことが予測されている。そうなった場合、自然的要因で述べた偏西風波動の変化につながり、異常気象の原因となる。
 また、砂漠化による地表面の乾燥化や、砂漠化・オゾン層の破壊による降雨パターンの変化、森林の減少による植生の減少などは、水循環や熱バランスに影響し、干ばつなどの異常気象をもたらすことになる。また、都市部に見られるヒートアイランド現象も、熱バランスに影響を及ぼすと予想される。


【異常気象の影響】

 異常気象が発生すると、洪水・渇水などが増加し、さまざまな影響が出てくる。これについては、次項で詳しく述べる。
 洪水・渇水以外の異常気象の影響としては、異常気象に耐えられない作物が育たなくなるため、農作物収穫量の減少が起こったり、酷暑や酷寒に見舞われると、抵抗力の弱い老人や子どもたちに大きな健康影響が発生したりする。また、猛暑により熱中症にかかる人たちが増え、死者が出ることも多い。また、寒さによって凍傷が増加するし、最悪の場合、凍死に至ることもある。

【自然災害の増加】

1.洪水・渇水の増加
 異常気象が発生すると洪水・渇水が増加する。他にも、森林の減少による水保全機能の低下や、地球温暖化による降水パターンの変化なども、洪水や渇水の要因となる。
 洪水・渇水が増加すると、淡水資源が確保できなくなり、淡水資源不足の問題が発生するだけでなく、人類の生活圏に影響をもたらし人類の生存環境が悪化するし、産業にも被害をもたらし経済の衰退につながる。他にも、河川の水質悪化により、河川を生息域とする生物への影響が考えられる。

2.沿岸災害の多発
【沿岸災害の多発の原因】
 沿岸災害には、高潮・高波・津波・海岸浸食などが含まれ、さまざまな地球環境問題を要因にして、このような沿岸災害が増加すると考えられている。
 具体的に見てみると、まず、地球温暖化問題による海面上昇を原因として、津波・高潮が大規模化することが予測されている。また、水環境や沿岸地域におけるさまざまな開発により、水深・海底地形が変化したり、沿岸域の地形が変化したり、海岸侵食・砂浜などの消失をおこしたりすることを原因として、沿岸災害が多発することが考えられている。

【沿岸災害の影響】
 沿岸災害が増加すると、洪水・渇水の場合と同様に、人類の生活圏に影響をもたらし人類の生存環境が悪化するし、産業にも被害をもたらし経済の衰退につながる。


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2008年07月16日

【地球環境問題事典】森林の減少(熱帯雨林の減少)

 今週のテーマは、森林減少の問題についてです。

 森林とは、そこに生育している植物の集団というだけではなく、生活用水などの確保や水・大気の循環などに関連し地球規模の環境をコントロールする役割などといったさまざまな森林の機能も含める。

 地球上の全森林の面積の約半分を占める熱帯林のうち、その約72%を占める熱帯雨林は、全世界の遺伝資源の過半を占め、世界最大の森林成長速度を持ち、地球規模での酸素や水蒸気の循環に高い機能を持つ。また、同一種の出現頻度は低く、非常に豊かな森林生態系を持っている。そして、その高い植物多様性に対応して、生息する動物多様性も高い。このように熱帯雨林は、地球規模の環境保全という立場から見ても非常に重要な役割を果たしている。この熱帯雨林は、その多くが熱帯地域の発展途上国に分布しており、その伐採が著しいため、森林の減少の問題を考えるというと熱帯雨林の減少について考えるということが多い。
 一方、多くが温寒帯に位置している先進工業国では、森林は緩やかな増大が見られる。


【森林の減少の要因】
 森林の減少には、森林が完全に他の用途に転換されるものと、森林は残存するものの機能的に劣化が激しく起こるものとがある。
 前者の場合、その最も大きな要因は、人口増加による食糧需要を満たすために、農地や牧草地へ転用されるというものである。また、産業資材の確保のためにゴムやオイルパームを栽培する商業農園の開発なども、森林の減少につながっている。これらの計画的な森林開発に加え、貧困層の農民による過度の焼畑耕作も依然として行われており、森林の消滅と荒廃が進んでいる。また、林産物の採取や農地の開拓による伐採で森林が乾燥していると、タバコや焚き火の不始末、焼き畑農業などの要因によって森林火災が発生し、大規模な森林の破壊につながる。
 後者の森林の劣化を起こす要因としては、薪炭財や建築用材の伐採によるものがある。特に成長の遅い乾燥地域での薪炭財の過剰採取は、森林の破壊に直結している。また、森林の減少の象徴としてよく登場する商業用木材の伐採は、有用な木材を選択的に伐採するので、質の低下はあるものの森林の形態は守られる。しかし、このような場合の伐採は通常大規模に行われ、林道の造成なども行われるため、この林道に沿って過度の移動焼畑が行われ、森林の破壊につながっているとされている。また、林業プロセスにおいて適切な森林管理が行われないために、森林が荒廃していってしまうことも要因の一つである。
 そして、地球環境問題からの影響としては、酸性雨による直接沈着や土壌の酸性化により森林が破壊されたり、地球温暖化による気候変動によって植生帯が移動し、森林の植物が枯死してしまったりすることが考えられる。


【森林の減少による影響】
 森林には、さまざまな機能があり、地球環境の保全に大きな役割を担っている。その森林が減少すると、それらの機能が全て低下することになり、多様な影響が出る。
 最も直接的な影響は、木材の主要な用途である燃料材の不足をもたらすということがある。これは現地住民の生活環境を悪化させるだけでなく、化石燃料の使用が増えたり、堆肥などを家庭用燃料に転用することで耕地土壌の劣化につながったり、地球環境問題への影響もでてくる。
次に、森林の水保全機能(水資源の涵養機能)について考えてみる。森林の水保全機能が低下すると、森林が水を蓄える能力が減るので、豪雨による洪水が増えたり、水資源の確保が難しくなるので渇水が増えたりする。そうすると、土壌の流出、土壌の塩類化につながり、砂漠化の原因になったり、耕地面積の減少につながったりする。
 また、森林の減少により、生態系保全に深刻な影響をもたらす。森林の減少は、そこに生息する動物の生息地の減少だけでなく、生息地の分断という二つ目の過程も通じて、生息・生育環境を改変させ、生態系に影響をもたらす。
広大な面積の行動圏や縄張りを持つ動物は、生息地の縮小に大きな影響を受ける。繁殖力が低いこれらの種は、生息地の減少によって両性の出会いが減少することによる繁殖確率の低下や近親交配の進行などにより、絶滅に追い込まれることが多い。
 生息地の分断による生態系へ影響としては、断片となった森林に生息する樹木の種類がこれまでと変化してしまうこと(サンプリング効果)により、その生物が主に食物にしていた植物の供給が絶たれ、その生物が死滅してしまうというものなどがある。
 そして、森林の減少は、地表面の改変などをもたらし、水・大気の循環などを大きく変動させる。これにより、地球全体の水循環や熱バランスに影響を及ぼし、異常気象の原因につながる。
 最後に考えたいのは、森林が重要な炭素の吸収源であるということである。世界の森林は359Gtの炭素をバイオマスとして保有し、787Gtを土壌中の炭素として保有している。温寒帯林は、大気中の炭素の吸収源であるのに対し、熱帯林は減少していることから炭素の排出源となってしまっている。全ての森林の炭素収支を合計すると、排出量が吸収量を上回ってしまい、森林全体で年間0.9Gtの炭素を排出していることになる。このように、森林が減少するということは二酸化炭素の吸収量が減ることになり、地球温暖化の加速につながることになる。



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2008年07月09日

【地球環境問題事典】砂漠化

【地球環境問題事典】砂漠化

 今週は、砂漠化の問題を取り上げます。


 世界の乾燥地域における砂漠化の防止、特にアフリカにおける砂漠化防止については、1977年にナイロビで行われた国連砂漠化会議(United Nations Conference on Desertification)以来、さまざまな対策プロジェクトが実施されてきたが、防止対策の成功例は少なかった。こうした解決困難な砂漠化問題に対して、国連は1992年にリオデジャネイロで開催された地球サミット(国連環境開発会議(UNCED))で採択された「アジェンダ21」第12章の行動計画に基づいて、1994年に砂漠化対処条約(深刻な干ばつ又は砂漠化に直面する国(特にアフリカの国)において砂漠化に対処するための国際連合条約(United Nations Convention to Combat Desertification in Those Countries Experiencing Serious Drought and/or Desertification, Particularly in Africa; UNCCD)を制定した(1996年12月26日発効)。この条約には、砂漠化と干ばつの影響を受けている発展途上国が、それらの防止のための国家行動計画(National Action Programme; NAP)を策定することと、その実施を先進国や国際機関が支援するための法的枠組みが定められている。
 砂漠化の内容に入る前に、砂漠化とは、いったいどういうことなのか、砂漠化対処条約の定義をもとにまとめてみます。

 「砂漠化」とは、乾燥地域、半乾燥地域及び乾燥半湿潤地域における気候変動と人間活動などさまざまな要因によって起こる土地の劣化をいう。
 土地の劣化とは、降雨依存農地、灌漑農地、または放牧地、牧草地、森林、疎開林の生物学的又は経済的な生産性及び複雑性が減少し又は損失することをいい、次のようなものをいう。
 ・風又は水による土壌の侵食
 ・土壌の物理的、化学的及び生物学的特質又は経済的特質の悪化
 ・長期的な自然の植生の喪失

 砂漠化は、気候的要因(自然的要因)と人為的要因のどちらか一方によって起こるものではなく、その両者があいまって、引き起こすと考えられている。しかし、人為的要因が加わったことにより、砂漠化が大きく加速しているというのは事実であり、その人為的要因を取り除くことが砂漠化を食い止めることにつながる。気候的要因・人為的要因に関わらず、砂漠化の原因となる現象は、植生の減少・土壌浸食の増大・表層土壌への塩類集積などである。


【砂漠化の気候的要因】

 まず、砂漠化の気候的要因として挙げられるのは、異常気象などに起因する渇水による干ばつのために植物が育たなくなるということである。渇水とは、長い期間、日照りが続いて、雨が降らないために、水が欠乏すること。干ばつとは、渇水により、植物が育たなくなることおよび、農作物が枯死することをいう。
 また、干ばつ以外の要因としては、大雨による影響がある。乾燥地では、大雨による土壌の侵食が容易に起こるため、砂漠化を進行させる要因として考える必要がある。

【砂漠化の人為的要因】
 砂漠化の人為的要因としては、過放牧・過開墾や降雨依存型農業・乾燥地における灌漑農業など農業や牧畜分野からの影響が第一に挙げられる。それでは、この3項目についてひとつずつ見ていくことにする。

1.過放牧
 家畜による植物の消費量が植物の成長量を超えると過放牧の状態となり、植生が破壊され地表面を裸地化させる。そうなると、家畜は植物の根まで文字通り根こそぎ食べてしまうので、さらに植物の再生が難しくなり、砂漠化へとつながっている。

2.過開墾・降雨依存型農業(ドライファーミング)
 降雨依存型農業は、自然の降雨に依存する農法である。したがって、土壌中の乏しい水分を利用して耕作が行われるため、休耕期間中に風食や水食といって土壌浸食が起こりやすい。また、休耕期間を短縮した場合は、水分が不足し、不作になることが多い。さらに、貧困などを理由に、不適地に換金作物を栽培するなどして土地が酷使されると、土地の劣化につながる。

3.乾燥地における灌漑農業(オアシス農業)
 乾燥地における灌漑農業は、生産性が高く、しかも生産も安定しているので、今後開発が進むと考えられる。しかし、連続的な灌漑による地下水の上昇により、地中の無機塩類が水に溶け、さらに毛細管現象によって上方に運ばれるので、地表面近くの土壌の塩分濃度が高まり、表層土壌の塩類集積をもたらす。この灌漑農業には、適切な水管理が不可欠であり、そうでないと、水資源の枯渇と土壌の塩類化が引き起こすことになる。

 他の人為的要因としては、都市化・工業化や観光開発などが挙げられる。また、戦争や紛争による土壌の荒廃なども無視できない。


【砂漠化の影響】

 砂漠化の影響を受けている人々は約10億人といわれている。これは、12億人以上といわれる全世界の絶対貧困者数や8億人以上といわれる栄養不良者数にも匹敵する。砂漠化の影響を受けている人々は、砂漠化している地域の人口から求めたものであり、必ずしも砂漠化の被害を受けた人々を数えたものではない。しかし、砂漠化地域と、貧困地域や栄養不良者の多い地域とには高い相関があり、ほとんどの地域で、貧困と砂漠化の問題は悪循環をなしていると考えられる。
 砂漠化の影響として、第一に考えなくてはならないのは、土地の劣化により耕地面積として使えなくなるということである。耕地面積の減少は、もちろん農作物収穫量の減少へとつながっていく。
 過放牧や過開墾・灌漑農業などが砂漠化の人為的原因であると前述したが、それらの背景には「貧困」という大きな問題が根源となっている。また、この砂漠化の進行により、農業による収入を減らすことになり、再び貧困の加速につながるという悪循環を形成してしまっている。また、砂漠化した地域で生活できなくなった場合には、土地を捨て、都市部への移住を余儀なくされることが予想される。その場合、都市部への人口集中や難民の増加などにより都市のスラム化といった問題も巻き起こし、疾病が蔓延することが心配される。
 このほかの影響としては、植生の変化により動植物の生息地が消失し、生物多様性の減少へも影響を与える。また、砂漠化により荒廃した地表面はダスト発生の原因となり、降雨パターンの変化・乾燥化・干ばつの頻発化などの地域気候の変化や洪水の増加などをもたらす。」そうすると、水循環や熱バランスへ大きな影響を与えることが考えられ、異常気象の原因にもつながる。
 


来週の地球環境問題事典は、「森林の減少(熱帯雨林の減少)」についてです。



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タグ:砂漠化
posted by rido at 00:00 | Comment(1) | TrackBack(0) | 地球環境問題事典 ブックマークに追加する
 





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